漫画原作のTVドラマの存在も全く珍しくない昨今ですが、1クール毎に書店で重点的に展示される漫画が切り替わる事も日常の風景になっているような感じです。1-3月期の場合はそれが「夜王」「NSあおい」と(喰いタン)いう、良い意味でも悪い意味でも対極の作品でした。しかし、どちらも大々的に書店の看板を飾るのには気恥ずかしい絵柄だという共通点がありますが(笑)


ついでにいうとドラマの評価も、同じようなご都合主義路線まっしぐらだった割には明暗が分かれたような気がします。登場人物を格好よく見せる路線を突っ走って、最後は主役の松岡を空気にしてまで北村や要、須賀、忍成に見せ場を用意しまくった(大河は微妙だった・・・)夜王は個人的には娯楽作品としては十分に楽しめた、が「あおい」の方は感動・奮闘路線がちょっと鼻につきすぎた。内容的には五十歩百歩だとは思うのだが・・・石原の演技が絶望的に可愛くなかったからかもしれませんが(笑)


話が大幅に脱線しましたが、今クールでは「医龍」と「クロサギ」だ。何故こうも読んでいる漫画ばかりという気にもなるのだが、何か釈然としないナイーブな感情を持たざるをえない今日この頃です。

とりぱん 1 (ワイドKCモーニング)

とりぱん 1 (ワイドKCモーニング)

とりぱん」は同一雑誌に掲載されている「へうげもの」と並んで自分が今、最も続きを楽しみにしている漫画です。漫画の内容は岩手県在住の独身三十代女性の身辺雑記といった按配なのですが、要約してしまうと何処にでも有りそうなエッセイ漫画を何故そこまで面白がってよんでいるのか?と考えてみるとそれは非常に説明し辛いような気がします。鳥や人間を漫画のキャラクターに落とし込むことが巧みだという事は間違いないと思うし著者自身を含めた身の回りの事象を漫画内のエピソードとして落とし込むことが巧い事は間違いがないかなとは思う。


それから、著者自身と(野鳥を含めた)他者との関係と、著者がそれらを描いた漫画を読者として読む事になる読者との距離間の取り方が適切というのかな、著者自身の身の回りの事、それも相当にローカルな事ばかりを語っているのだけれど、それを自然に然りと読ませてしまう所も大きいのだろう。また、身辺雑記でありながらも、少なくとも自分にとっては縁の遠い野鳥の生態や、岩手のローカルフーズだとか、元道民の自分から見ても異常に映る岩手の冬の生活だとか・・・この漫画を通して新たに知った世界があった事も大なのかもしれない。大げさにいえば、センスオブワンダーを感じるというか(笑)マンネリに陥りそうな題材でありながらも、連載一年を数た本誌でも、何時も通りの調子で連載が続行しているのも凄い事だと思う。
★★★★☆
C-blossom (2) KCデラックス

C-blossom (2) KCデラックス

亡国のイージス」の登場人物、如月行を主人公としたスピンオフ作品の二冊目です。刊行自体は去年の暮れ、映画のDVD発売にタイミングを合わせての事だったようだ。因みに1巻は映画の公開にあわせての発売。この漫画は、映画のエンドクレジットで、「広報乙」といった感じで漫画版「亡国のイージス」(横山仁先生の描いた中途半端すぎる所で打ち切られてしまったモーニング掲載の漫画)の次に名前を挙げられていた、そういったタイアップ作品ならではの事情といったものが露骨に窺い知れる所が少し嫌かもしれない。

孤独な少女と孤独な青年は最後に互いの身の上に理解を示しそれぞれの日常に戻っていくー行にとってのそれは自衛隊工作員としてのものだーというクライマックスとなる降下シーンが少し弱感じられたのが勿体無かった。直後に訪れる終わりを前にして、二人だけの一瞬の時間が流れている事をもっと強調するような見せ方が有るような気もするんですよね。漫画全体としては決して悪い作品ではないのですが。


撃たれたことを偽装する為にトマトジュースを使うというのは酷すぎると思ったり、あれだけの大事の当事者の素性を隠匿して「いそかぜ」に送り込めるダイスは凄すぎるとか突込み所は有るんですが。
★★☆