飛鳥の宮と藤原京―よみがえる古代王宮 (歴史文化ライブラリー 249)

飛鳥の宮と藤原京―よみがえる古代王宮 (歴史文化ライブラリー 249)

そういった中で「飛鳥京」を中心とした飛鳥・藤原地域だけが正方位で空間整備がなされていたとするならば、その地域だけが周辺地域から見たとき、きわめて視覚的に特殊な空間として認識できたはずである。(中略)まさに、王権が支配拠点として意識して空間整備をおこなった範囲が「京」であったと考える。

目に見える全てが史跡に見えてしまう(小山をみると取り敢えず古墳疑惑をかけてしまうような)7世紀の都、飛鳥の最近の発掘調査に関わった著者の考察。宮及びその周辺地域の有り様と変化から古代王権の発展と支配階層の思想を読み取る。時を支配する方策が暦の作成なら、空間の支配の方策は都市計画にあるという話。最終章での都市の生活環境についての問題提起は、今までそのような研究がなされていなかったの?という意味で驚きがあったり