雨が降り漸く人間の生活できるだけの気温で迎えた29日の朝だが、前日比べてあまりにも気温が低すぎたお陰か体調は最悪。働いている時だけは思考も行動もそれなりなのだが、仕事が終ると思考は混濁し体の反応は芳しくなく、結局明日は休日として静養する事に。多分明日は灼熱地獄で違う意味で体調を悪化させるのだろう、とそんなイヤな予測しか立たない一日でした。
加納朋子「バックスペース」を再読。数ページだけの読書のつもりが一気全編を読んでしまいました。狭い世界の中で鬱屈とした感情を抱え込んで小さく纏まってしまった主人公が、ほんの少しだけ前に踏み出してみた途端、それまで彼女が打ち捨てていた物全てが、意味ある存在として彼女の前に立ち現れ、彼女の世界に彩りと広がりが生み出される終盤のカタルシスが素晴らしい。なんて事のない筈の話を魅力的な物語に替えてしまう書き手の筆力には改めて感服します。

スペース (創元クライム・クラブ)

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