亡国のイージス

漸く観てきました。冗長で長大な原作小説のエピソードの数々を、劇場公開作品としてどう纏めてくるのかお手並み拝見的な所も有ったのだけれど、登場人物達の背景や関係性の描写は手短に済ませて、開始30分程で瞬く間にいそかぜが占拠される展開には、事前に原作を読んでいないと辛いだろうな、と感じました。

そして、原作小説の中で重要な役どころを担っている如月行の存在が、映画のプロモーション等で扱いが小さかったの理由も理解できてしまった。原作の如月はただその場にいるだけでも強烈な存在感を放つキャラクターですが、勝地涼ではさすがにそこまでの雰囲気は出背いないですよね。真田広之との絡みでももっと自己主張が出来るようであれば、ベテランと新鋭の個性がぶつかりあう映画としての見せかた売出しからも出来たのだろうけれどな、と、新人俳優には酷な感想をどうしても抱いてしまった。

いそかぜ強奪後は、登場人物それぞれが当座に取るべき行動が明白になる分ので、スピーディな展開も気にならずに素直に頼めました。画的に単調になってきたかなと思う所で政府側・いそかぜ艦内で場面が切り替わってくて飽きさせないです。そして、一番の見所はなんといっても本物の護衛艦を使用した戦闘シーンですよね。いそかぜとうらかぜの戦闘でのいそかぜから発射されたハープーンをうらかぜがシーズパローと主砲で迎撃するシーンは之だけでもこの映画を金を払った価値が有ったと思えるほどに迫力がありました。自衛隊全面協力は伊達では無かったですね。ラストシーンでのCGで描かれたいそかぜ沈没シーンがあまりにもチープだった事とはえらい違いです(笑)

気になった所は・・・ジョンヒの存在意義が第一かな。ヨンファが如月に親近感を抱くシーンですらカットされているのに、それより出番の無いヨンファが水中で如月にキス?というのは正直どうなんでしょう。横浜スタジアムのシーンも意味が判り辛すぎる気がしますし。なんとも微妙な存在ですねぇ。グソーお持ち込んだ事も彼女ではない事にされているような感じでしたし。

その他では台詞すらなかった真木蔵人、原作とは違い見事に生き残った(というか存在を殆どスルーされた)田所。逆に谷原章介は原作では普通に退艦していた様な気がするのですが、最後にあんな微妙すぎる活躍をしてくれるとは・・・という意味で驚きました(笑)最後ですが、こんな事で感動するのは少数でしょうけれどc‐blossom含めての漫画版読者としてはエンドロールの最後の方に名前が挙がっていた事が微妙にうれしかったりしています。