日本の森にオオカミの群れを放て―オオカミ復活プロジェクト進行中

日本の森にオオカミの群れを放て―オオカミ復活プロジェクト進行中

オオカミを放つ―森・動物・人のよい関係を求めて

オオカミを放つ―森・動物・人のよい関係を求めて

(オオカミが人間に与える)リスクが0でなければ(オオカミを日本に導入する事は)駄目なのか、という提言が重い。例えば子供が事故に巻き込まれる懸念から公園での遊具が軒並み撤去されていくような現代の社会風潮を考えると相当に覚悟のいる発言をしたのだと感じる。だけれども逆に、反発を覚悟の上でそのような強い言葉を持ち出さなければオオカミ導入の議論を提示できない所に、この計画の先行きの暗さがよみとれてしまったようも思える。勿論、著者は世間で流布されている程にはオオカミによる人畜への被害の可能性は少ないと強調するのだけれども。

そもそも、導入に利があるからという理由で、既にオオカミのいない自然の姿が当たり前になっている自分達がそれを受け入れて、オオカミを新たな日本の住人として受け入れる事には情緒という意味で相当な無理があるような気もします。うちの実家には鹿もキタキツネもいるけれども、そこに狼が加わるというのは正直言って想像に苦しむものがあるんですよね。