別館でも少しだけ触れているけれど、片山氏の博覧強記ぶりにはいつもいつも感心させられる。正直言ってしまうと、音楽の好みという所でいってしまえば、自分は時間でいえばより過去への方向だったり、方角でいえば北の方向に興味の中心がある人間なので、天文の世界で言われているように遠くにある銀河ほどより早い速度で遠ざかっていく現象と同じくらいに、自分の頭の中では著者が物凄い勢いで多種多彩な話題と言葉を連ねながら遥か彼方へと走り去っていく姿が目に浮かぶ、というか要するに著者の関心の在りようには正直ついていけないわけですが、それでも語られる内容は興味深く面白いのだから堪らない。読ませる力は凄いよな、といつもながらに思う。これらいの領域にいる人間の中身ってどうなってるのかな、って思います。たどり着けるわけないだろうと思いつつ嫉妬する。正直、どうしようもない気分に(苦笑)
ボリュームのある本で、正直言って読むのが大変な本なのかな、とも思ったのですが平易な文章でページあたりの文字量もあまり多くなく、あまり例に出したくないのだけれど
塩野七生の本を読むようなのりですらすらと読み進められるのだが、それでも内容は非常に濃厚。十字軍の目的地が
コンスタンティノープルという常軌を逸した行動の背景にある、人々の非常に生々しくそしてどうしようもない愚かしい振る舞い -フランス人側からみれば要するに金がなく、輸送担当の
ヴェネチアにいいように乗せられたということ、そして目先の今年か考えない
ギリシア人の愚かさ ここで強調されているように思えるのは、一つ一つ、一人一人にはそれほどの悪意がなくともそれが集合となったときには救いようもないような愚行がなされうるt、ということだろうか-、ある種の感動すらも覚える。そしてそれは現代においてもまったく変わらない問題だということも。
最近気づいたのだけれど。共同電のEUROの記事で「4-2-3-1」のような数字がみられるのはこいつの影響なんだろうな、というか記事を書いているのおすぎじゃないのかよ!?と思わずにはいられない著者の問題作。正直言って欧州トップモード思想を撒き散らす、著者のサッカー観や独特の文体は好きではない、というか格好のネタなのだけれども、この本のはじけ加減はすばらしい。荒井義行の前で小僧扱いされてみたり、巻末で
高木豊と対談してみたりと正直というかフリーダムというべきなのか(笑)
金子達仁のような安全パイな立場に逃げ込まない姿勢だけは評価したいな、なんて思ったりもする。