バスジャック

バスジャック

「となり町戦争」の著者、三崎亜記の二作目。今度は短編集です。


確かにこれは、肉体的体感のないまま粛々と進行していくとなり町との戦争を描いた著者の作品だよなぁ。制度化されるバスジャックってなんだよ?、それは本当にバスジャックなのか?と思ったりもさせられる。よくもまぁこういう設定を思いつくものだと良い意味で感心しますね。


収録されているのは、極端な設定を用いて社会のシステムだとか通過儀礼みたいなものの存在と人間との関係を描いる作品が多い。前作もそうだったけれど著者の関心はそこにあるんだろうなぁと思わせられるかな。


それとは別に、ショートショート的といってもいいような、日常生活に訪れたちょっと奇妙な出来事をポジティブに捉えたようなものも有ってちょっと戸惑ってしまったりもしてみたり。


収録作の中では、題材的には職場物であり、超能力物でありながらも、やっている事が「超能力を使って、主人公が想像した動物を動物園を訪れた客に見せる」という、素敵な内容の「動物園」が面白かった。それにしてもこれだけ奇抜な設定の作品揃いなのは、オーソドックスな内容をストレートに描く事に対する照れなんかもあるのか、それともSF的な素養がある人なのかと判断に困りますね(笑)