DEATH NOTE連載終了

この漫画の雑誌での存在を象徴するようなエピローグだったと思う。

後日談は最初から最後まで気だるさと陰鬱さを含んだ描かれ方をされている。前半・中盤は松田の愚痴、後半は中央アジアを思わせるような秘境(?)でのキラ崇拝者達の集会の光景で、巨大な悪を打ち倒したカタルシスを欠片も感じさせない作りになっている。

ノート一冊を手に世界を自分の色に染め上げようとした夜神月。彼はその行為から作中世界に狂乱と熱狂を生みだしたのだが、それに対するニアや、月以外の日本捜査陣は、キラを悪しき存在として追求はするけれども、キラが掲げ世界を動かした理想に代わる物を新たにに示した訳ではない。キラが消えた後の世界が虚脱感を感じさせる描かれかたをされうのは自然な事だともいえる。祭りの後、といってもいいのかもしれない。

松田の発言はそんな作中世界の空気の象徴で、キラ捜査に関わり月の傍にいた松田が、巨大な敵と対峙し、競争相手と競い合った非日常な時間への郷愁、それが井出の云う所の「願望」となって現れたのだと思う。

そして、それは良くも悪くも少年ジャンプのような友情・努力・勝利を看板として、掲載漫画の半分以上が敵のとされる存在と肉体的な闘争を繰り広げている雑誌お中において、特異な個性で人気を得たDEATH NOTEという漫画の終了と重なる物があると思ったりもする。短期間の内に大きな存在感を示した漫画の終了を受けて、入れ替わりの形で始まった連載が全てDEATH NOTEとは志向を大きく異とする学園コメディ。この漫画の終了により生まれた空白を埋める漫画は今のジャンプにはないのだ。皮肉な一致といっていいかも知れない。

いや、まぁ、自分はヨツバ編の頃から既に脱落気味では有ったんだけどね。でも純分に楽しませて貰ったと思ってます。

それから最終ページ。キラの信奉者達の点す小さな灯り。それはキラの残した影響の強さを示しているのは勿論ではあるけれど、どうにも作品の灯は消えてはおらず、将来的には再びノートを巡る物語が再開されるかもしれない、という風にも読めてしまう所に大場つぐみの腹黒さ感じてしまう。別に悪い意味ではなくてね。そういう個性を持った人間だからこその連載だと思いますし。