日本史の一級史料 (光文社新書)

日本史の一級史料 (光文社新書)

現代と過去を結ぶ入り口でもあり出口でもある史料の扱い方については、何かと大学の教官からそこを疎かにしてはいけないと事細かに指導されたことを思い出します。タイトルで誤解を受けそうな感じですが、高校生辺り向けの歴史入門書には丁度いいんじゃないかな。

偽書説等の事を一切知らされずに講義のテキストとして一年間付き合った多門伝八郎の日記の事は、名前を目にするだけでもある種のいやな感情を引きおこされる程のトラウマが・・・という割とどうでもいい個人的感情もあったり。まぁ宇野功夫風にいえば知らなかったとは言って欲しくはない、という所でしょうが(笑)

清宮克幸・春口廣対論 指導力 (光文社新書)

清宮克幸・春口廣対論 指導力 (光文社新書)

例えが最悪ですが、一見すると、アフィリで稼ぎたいから取り上げた作品に対して絶対に悪口を書かない批評blogのようなスタンスでスポーツを舞台としたノンフィクションや批評を手がける作家、ライター個人についての評を手がけているようにみえますが、内容はとてもエキサイティング。

読み始めた頃は微温的だなぁ、と思っていたのですが、個人によってはスタンスが180度違う作家達を前に、どんな時でも肯定とエールを忘れない著者の姿勢にはプロ魂を感じずにはいられなかったです。掲載誌が「sportiva」という関係もあるのかもしれないけれど、少なくとも自分には絶対に無理な境地、評者と対象の間の緊張感のような物の存在を垣間見たような気がします。次の著者はどういう風に褒めるのだろうと思って読む楽しさ。意外な発見だった。
★★★☆