今日もないてます

前言を撤回して今日も猫の話。
命をなくした亡骸を自宅に連れ帰りいつもそうしていたように仰向けに抱き抱え、いつものように言葉をかけ、これまたいつものように他の猫がかまってほしくて飛びかかってくる。その時にはじめて悲しみを実感した。それらの日常がすべて喪われてしまい、その後の日常を過ごしていかなければならないことを。本棚の頂上から直接寝ている自分にダイブされることも、夜の町を一緒に練り歩くこともないのだと。

なのに部屋の中でも家の回りでも、いま其処に確かに在るかのように曾ての姿がとめどめもなく溢れてきて自分の中を満たしている。

最後に猫の遺骸を抱きしめた時、口からほんの少しだけ、きゅう、という息が漏れた。その事の意味を今は考えている。